2010年6月1日火曜日

SACSIS

分散メモリ向け並列言語XcalableMPコンパイラの実装と性能評価
 李 珍泌, 朴 泰祐, 佐藤 三久(筑波大)
OpenMPと並列フォートランを混ぜたような言語。グローバルビューとローカルビュー があり、グローバルビューだけでもほとんどのプログラムをかけるが、書き切れない部分をローカルビューで補うという機構。ローカルビューとグローバルビューの連携をどう記述するのかが、聞いていてもよくわからなかった。

柔軟かつ直観的な記述が可能なジョブ並列スクリプト言語Xcrypt
 平石 拓, 安部 達也, 三宅 洋平, 岩下 武史, 中島 浩(京大)
バッチキューイングシステムのフロントエンドとなるスクリプト言語。と言っているが、単なるRubyのライブラリである。スクリプト自体のチェックポインティングのことを考えると、素直になんらかのワークフロー言語を使うべきだと思う。

QuickCheckを用いるモデルベーステスト実行のためのMapReduce型テストフレームワークの提案
 生田 裕樹, 日下部 茂(九大)
乱数でテストケースを生成し、プログラムをチェックする、モデルチェッキングにHadoopのMapReduceを利用する試み。アプローチは興味深いが、並列プログラムの挙動の解析としては物足りない。結果は32コアで14倍程度の並列化効率しか得られていないが、計算の種類を考慮すると、直感的にはもっと並列化効率が高くて然るべきである。

MPI-Adapter: 異なるMPI実装間でバイナリ互換を実現するインタフェイスアダプタの設計と評価
 住元 真司, 成瀬 彰, 久門 耕一(富士通研), 安井 隆(日立), 鴨志田 良和, 松葉 浩也, 堀 敦史, 石川 裕(東大)
複数のクラスタをMPIで連携させる際に問題になるのは、それぞれのクラスタが往々にしてベンダ固有のMPIライブラリを利用していることである。MPIにはバイナリインターフェイスが定義されていないので、MPIライブラリを連携して動作させることは非常に難しい。この研究では、各MPI実装のヘッダファイルから自動的に情報を抽出してアダプタを生成することで、異なるMPI実装を連携した実行を可能としている。

マルチコアPCクラスタ向けAll-to-all通信アルゴリズムの提案と評価
 成瀬 彰, 中島 耕太, 住元 真司, 久門 耕一(富士通研)
マルチコアPCクラスタでMPI通信を行うと、隣接するコアの発行する通信との干渉によって性能が低下する。この論文は、性能低下の原因を解析し、低下しないようスケジューリングする方法を提案している。ちなみに、最優秀論文賞の一つであった。

リングトポロジーによる MPI-IO 書込の高速化
 堀 敦史, 太田 一樹, 鴨志田 良和, 松葉 浩也(東大), 安井 隆(日立), 住元 真司(富士通研), 石川 裕(東大)
クラスタ上のMPIプログラムが共有ディスクにデータを書き込む際に、同時に書き込みを行うと、シークが頻発するため性能が極端に低下する。ROMIOは、リング状にデータを転送しつつマージしていくことにより、シークを減らし、書き込みスループットを最大化する。
これ、おもしろい。

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