2010年1月29日金曜日

OS研究会@札幌 2010/1/27,28

2010年1月27日(水)
■仮想化(1) [13:30-14:45]
(1) ARMアーキテクチャ用仮想マシンモニタの実装
   鈴木章浩,追川修一
非特権センシティブ命令をスタティックに置き換えているところと, ページをつかわないでドメインでメモリ保護をさせるところが 面白いところ,なのかな?
(2) 仮想マシンのオーバヘッドおよび負荷評価方法の提案
   金田典久,飯塚剛,金木佑介
仮想計算機に統合する際のサイジングのお話.負荷予測? 統合前の負荷を調べておく.負荷シミュレータ.シミュレーションっていうか, 実機使ってるなあ...たしかに「負荷」をシミュレートしているだけなのか.
(3) XenにおけるPCI Passthroughの性能評価
   渡邉和樹,永島力,茂田井寛隆,片山吉章,毛利公一
PCI Passthrough と準仮想化を比較. 「遅延」とかいうのはおかしいよな. Domain0での実行が速すぎる.ちゃんと計測できていないんじゃないかとしか 思えない. 対象がディスクとか1GNICだと,ディスクが律速で,あまり差がでない.もっと速い 10GNICとか,GPGPUだと面白いんじゃないか?
■OS実装法 [15:05-16:20]
(4) OCamlによるOSの実装
   井上翔大,大山恵弘
OCamlでOSを実装.もちろん,ハードウェアに直接触る部分は Cのasm文で書いている.実装の完成度はまだまだだが,今後が 楽しみ.
(5) 異なるOpenCL実装を接続可能にするHybrid OpenCLの構築
   青木亮,追川修一,土山了士,中村孝史
他のノードのOpenCLデバイスをリモートで利用することのできるライブラリ の提案.複数のノードのOpenCLデバイスを同時に使うことで 高並列の実行が期待できるほか,各ノードがことなるOpenCLデバイスを持つ ような,ヘテロ環境にも対応できる.
おもしろいが, なんでHybridというのかイマイチわからん.なにとなにのハイブリッドなのか? 評価は1対1でしかやっていないので,1対多になったときの性能は不明. 1対1ではそれなりの性能が出ているらしい.今後のe-science cloud でGPUを使う,とか言うときにちょっと面白いかも.
(6) スクリプティング言語によるカーネル拡張
   井出真広,中田晋平,倉光君郎
konoha というJavaっぽいスクリプト言語でLinuxのモジュールを書く, というはなし.デモでは失敗していたが,まあそれはご愛敬. ランタイムをカーネルモジュールとして実装し,そこで実行する. konoha がCの構造体を比較的簡単に参照できるようになっているのがミソなのか.
1月28日(木)
■メモリ管理 [10:00-11:15]
(7) イーサネット接続SSDによるコンピュータのメモリ拡張
   鈴木順,馬場輝幸,飛鷹洋一,樋口淳一,加美伸治,内田智士,高橋雅彦,菅原智義,吉川隆士
express etherを使って,ioDriveをリモートから使ってswapを高速化. 現状だとPCIを1対1でつかうことになってあまりうれしくないが, 将来的には,共有できるようになるらしい.それなら面白いかも.
(8) ゼロコピー通信処理を可能にする実メモリ交換機能の提案
   門直史,田端利宏,谷口秀夫
Tender話.ページをスワップする機能を使って,ユーザランドと カーネルランド間での転送をサボる. ただし, ページ全体がスワップされちゃうので,実際には 受信時にはページにアラインメントされた領域を確保しなければ ならないから,pin downするのと大して変わらないおうに見える.
(9) 省メモリのためのメモリアクセス解析手法の提案と実装
   壬生亮太,高橋雅彦,菅原智義
組込機器でメモリアクセスをトレースしてリアルタイムで可視化する.
■並列・分散処理 [11:30-12:20]
(10)範囲検索と複数属性のデータの処理に適応した分散データストア
   川上大輔,松井俊浩,齋藤彰一,津邑公暁,松尾啓志
KVS を2つつかって,検索性と複数要素の格納を両立させる と言う話し.インデックスを別のKVSに作っている,ということなのか. 完成度は低そう.
(11)yass: yet another simple storage
   荒川淳平,笹田耕一,竹内郁雄
PHPで作ったストレージ.orz-DHT意外にもそんなモノがあるとは. 完成度高そう.マウントもできるらしい.
■仮想化(2) [13:30-14:20]
(12)SMPを活用したPrimary/Backupモデルによるリプレイ環境の構築
   川﨑仁,追川修一
SMP上でVMを時間差実行.イベントをバッファリングしてから食わせてやることで, 時間差で全く同じように実行させる.で,それをカーネルパニックしたときなどに 検出する.
(13)仮想マシンモニタを用いたVPN障害への透過的な対応手法
   松橋洋平,品川高廣,加藤和彦
クラウドへのVPN接続をVMM で管理することで,ゲストに対して透過に耐故障性を付与する.
■プロセス管理 [14:35-15:50]
(14)ライブラリ実装したプログラム実行速度調整法における処理の均一性の評価
   境講一,田端利宏,谷口秀夫,箱守聰
ライブラリでプログラム実行をスロットリング.cgroupとかで できてしまいそうで微妙.
(15)EDFスケジューリングにおけるDVFSを用いたCPU省電力化手法
   林和宏,並木美太郎
DVFS 制御による省電力.周期タスクで予測をいれることでより 効率的に制御できる,というところがミソ.
(16)プロセスグループ別LSMのためのLSMフレームワーク拡張
   中田晋平,倉光君郎
linux container で利用されている機能を用いて,セキュリティ機構を拡張.

2010年1月21日木曜日

GNU Emacsにおける暗号化機能の刷新

    
GNU Emacsにおける暗号化機能の刷新
上野 乃毅
コンピュータ ソフトウェア Vol. 26 (2009) , No. 4 
EmacsのPGP実装を入れ替えるのに,オープンソフトウェアコミュニティでどういう苦労をしたか,という話し.タイトルと内容がちょっとずれているような.

Comsysで聞いたTOMOYO LINUXをカーネルにマージする話しと似ている.しかしなあ,この話しこそ,ブログでもいいような.まあ,論文っていうのはもともとそんなもんなのかもしれない.

なぜソフトウェア論文を書くのは難しい(と感じる)のか

    
なぜソフトウェア論文を書くのは難しい(と感じる)のか
権藤 克彦, 明石 修, 伊知地 宏, 岩崎 英哉, 河野 健二, 豊田 正史, 上田 和紀
コンピュータ ソフトウェア Vol. 26 (2009) , No. 4 
ソフトウェアそのものに関する論文がなぜ書きにくいのか,を論じている.しかし,ソフトウェアそのものに関して論文を書くべきなんだろうか?まあ,まとまった形でどこかに知見が残されていることは有益だと思うけど論文である必要はない.ソフトウェアのドキュメントでもいいだろうし,ブログでもいい.問題はむしろ,論文という形じゃないと評価されない,というシステムのほうにあるような気がする.今後論文の相対的な地位はどんどん下がるんだから,無理に論文にしなくてもいいんじゃないかな.